儚幻
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11-10-2022 01:26 AM
ギャラリー一眼レフにて。
貴方の好きな、満月の夜。
月を見て、悲しくなることもありましたけど。
もう悲しくないかも。
貴方がカメラを握った。
その背中を見ました。
特別な瞬間でした。
私の前で一度だけ、貴方は泣きました。
初めて、目の視界が悪くなったとき。
声を殺して泣きました。
見えなくなる恐怖。
不安。
怒り。
悲しみ。
あの日から、貴方は少しずつ、ひとりで壊れていった。
ですから、わたくし、貴方と一緒にいたいです、ってお願いしました。
少しずつ、二人でいる時間が増えて。
一緒に、貴方が落としたカケラを集めました。
貴方が拾わないときは、私が拾った。
拾って、私のものにしたり、貴方にはめ込んだり。
貴方が少しずつ、治っていく音がする。
ゆっくり。
ゆっくり。
音がする。
目は、どこまで見えてますか?
私のこと、見えますか?
私の声は、届いてますか?
聞きたいことは山ほどあるけど。
カケラを全部、見つけたときに聞きますね。
今日も、貴方が見てきたカメラの世界を、私が貴方に届けます。
今日は月齢15ですよ。
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